人間関係と霊の戦い

 あなたの直面している問題が何であれ、その背景にはサタンが働いているケースが多い事を知っているべきです。特に人間関係のトラブルなどは、背後で働くサタンを意識しつつ、それらの問題を解決して行くようにする必要があるでしょう。その理由の一つは、未信者の大多数は、悪霊による影響を強く受けやすいからです。もちろん、悪霊の悪い影響によって歩んでしまっている信者もいます。私たちが持つべき考え方は、目の前にいる人を敵と見なさない事です。実際サタンは、クリスチャンでさえ、あなたの敵であるかのように仕向ける事が可能なのです。サタンは、人の肉の思考に働きかけて、誘惑したり、惑わしたりして、油断している人を狙います。

 霊の戦いというのは存在します。多くのクリスチャンは、物事を人間的な考えや見方で捉えているので、表面的な部分しか分かりません。霊の現実、霊的な存在、霊の法則などがある事を知りません。日常生活で起きている様々な事は、単に物理的に、自然に起こるようなものでは必ずしもないのです。目には見えませんが、私たちは霊の現実の中に生きている為に、日々の生活において、霊的な戦いがあります。そしてその戦いとは、私たちの思考の中と、人間関係の領域でよく見られます。

 神は全ての人を引き寄せて、ご自身の恵みによって、一人でも救おうと働きかけています。しかしその一方で、サタンは神に近づこうとする人を邪魔したり、可能なら人の信仰や心も壊そうとします。サタンは、人の考えの中にあらゆる汚れや腐敗を持ち込んで来るという方法を第一の攻撃とします。多くのクリスチャンは、この霊の戦いが、いかに激しいものであるかを知りません。そして、霊の戦いに対する彼らの無知が、どのように彼ら自身に影響を及ぼしているかも知らないのです。神の知識を得て、敵に対する戦い方を学んで実践するなら、私たちは敗北の人生から解放されるでしょう。

 何をどう判断するべきかを知り、信仰に基づく言動によって問題に直面すれば、あなたの生活は大きく変わります。しかしまず、次の事を知って下さい。サタンは、あなたの自由意志をコントロールする事はできません。神でさえも、あなたが信仰によって行動を起こさないと、殆どのケースで何もやらない(むしろできない)のです。「神の御心のままに、諸々の問題はどうにか成る」という事ではありません。あなた自身が霊の戦いに積極的に参加しているべきなのです。敵であるサタンは容赦しません。知識がないクリスチャンは、食い尽くそうと探し回っているサタンにとっての、絶好のターゲットになります。

 エペソ 6:10-12「終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。悪魔の策略に対して堅く立つ事ができるように、神のすべての武具を身に着けなさい。私たちの格闘は血肉に対するものではなく、支配、力、この暗闇の世界の支配者たち、また天上にいる諸々の悪霊に対するものです。」

 注目すべき個所は、「私たちの格闘は血肉に対するものではない」、つまり、私たちの戦いは霊的なものであるという事です。そこには当然ながら、霊的な判断や考えが必要になります。しかし霊の戦いは、いわゆる「悪霊追い出し」に関する事だけではありません。私たちの多くが見逃してしまいがちなのが、あらゆる否定的な考えや聖書の真理に逆らう考えが、サタンからの惑わしであるというものです。人の考えに悪い影響をもたらすサタンは、私たちの周りの人にも悪影響を与え、できればその人間関係を破壊しようと企んでいます。

 人間関係におけるサタンの攻撃は、見抜く事、気付く事が難しい部類です。それに気付かないでいると、相手が同じ主にある兄弟・姉妹であっても敵とみなしてしまう事もあるでしょう。サタンは、私たちが目で見て、耳で聞く事に頼り、五感からの情報に基づいて判断させようとする為に、様々な事を仕掛けてきます。別の言い方で言えば、クリスチャンに聖書的な判断をさせないように邪魔をするという事です。従って私たちは、五感に頼りすぎず、背後で動くサタンを見抜く必要があります。

 例えば、人の言動で感情的になってしまうのは、私たちの肉の弱さが主な原因ですが、この感情という扉からサタンは入って来る事がよくあります。私たちは、感情的になって判断するのではなく、霊の目で物事を見ていないといけません。例え、あなたの友人の言動がおかしいと感じても、その人を見るのではなく、敵を見抜いていないといけない場合もあるのです。サタンが機会を狙って、あなたの友人という、あなたの弱点を攻撃しているかもしれません。こうしたサタンの働きが背後で起きている事もあるのだと、常に頭の片隅に置いておけば、人に対して怒ったりせず、冷静に対応できますし、その人を赦す事も容易くなるでしょう。

 マタイ 16:21-23「その時からイエスは、ご自分がエルサレムに行って、長老たち、祭司長たち、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、三日目に蘇らなければならない事を、弟子たちに示し始められた。すると、ペテロはイエスをわきにお連れして、いさめ始めた。「主よ、とんでもない事です。そんな事があなたに起こるはずがありません。」しかし、イエスは振り向いてペテロに言われた。「下がれ、サタン。あなたは、私をつまずかせるものだ。あなたは神の事を思わないで、人の事を思っている。」

 イエスは、ペテロに「下がれ、サタン」と言ったのではなく、ペテロの背後で働いていたサタンに向かって言いました。サタンはイエスを殺す事を密かに計画していましたが、それを見抜いてたイエスは、ご自身に起ころうとする事をはっきりと弟子たちに示されました。しかしサタンは、ペテロにささやき、ペテロはそれに同意して、イエスをいさめて、復活を含むその預言を否定したのでした。このように、サタンは人を通して自分の考えを話す事もあります。私たちはそれを見抜いている必要があります。

 サタンは、私たちを惑わそうとする為に、私たちの考えの中に疑問を起こさせます。ちょうどエバを騙したように、御言葉の真理に対して逆らうような疑問を投げかけるのがサタンの手口です。福音に激しく反発する未信者などは、サタンの影響を受けているかもしれません。一方、真理に逆らう考えがクリスチャンの中に入ると、不安を覚えたり違和感を感じる事があります。これは聖霊が私たちに教えているからです。そうした違和感をが聖霊の導きになっているケースもあります。

 罪を犯す衝動が止められないといったもの、依存症、うつ病、魔術や霊媒といった事をして、直接サタンが入りやすくしている人は、悪の影響を強く受けやすいでしょう。こうした人々の背後には強い悪霊が働いていて、他のクリスチャンの協力によって悪霊を追い出してもらう必要がある事もあります。

 霊の戦いで勝つには、私たちがまず敵に対する権威を与えられている事を知って、敵はイエスによって既に敗北を宣言された者であるという事を知る事です。イエス・キリストの御名には力があり、全ての悪霊は私たちの内にいるイエスに怯えています。ただし、この勝てる戦いも私たちが何もしないなら、私たちがやられてしまうのです。私たちが霊の戦いに参加し、与えられた権威と力を用い、勝利を掴む事は、天の父の御心です。それが、私たち神の子がやるべき事なのです。